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レーザートラッカーの使い方・基本の測定方法と仕組みを解説

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レーザートラッカーは、航空機や自動車の大型部品、生産ラインの設備など、数メートルから数十メートルに及ぶ大型対象物をサブミリ(0.1mm以下)の精度で測定できる三次元測定機です。


レーザートラッカーによる測定風景
引用元:FARO Technologies(https://www.faro.com/ja-JP/Resource-Library/Article/understanding-laser-trackers)

上の写真のように、現場の床に三脚などで直接設置し、離れた場所にある大型部品を測定します。こちらでは、レーザートラッカーの基本的な使い方から、座標を読み取る仕組み、他の測定機との違いまでを詳しく解説します。

レーザートラッカーの仕組みと測定原理

レーザーとリフレクターで三次元座標を計算する

レーザートラッカーは、本体から発射したレーザー光をリフレクター(反射器)に当て、反射して戻ってきた光を解析することで対象物の位置を計測します。具体的には、本体とリフレクター間の距離と、レーザーが向いている上下・左右の2つの角度のデータを取得します。この距離と2つの角度の組み合わせ(極座標系)を計算処理し、空間上の正確な三次元座標(X, Y, Z)を瞬時に割り出す仕組みです。

測定精度は数ミクロン単位と非常に高く、数十メートル離れた場所でも安定した測定が可能です。また、動いているリフレクターを本体が自動で追いかけるトラッキング機能を備えているため、リアルタイムでの連続測定が実現します。これにより、部品の製造ラインや建設現場でも効率よく寸法検査や位置決めを行えます。

レーザートラッカーの主な使い方

レーザートラッカーの使い方は、対象物の形状や用途に合わせて主に3つのアプローチに分かれます。

リフレクターを使った基本の測定

測定に使用するSMR(リフレクター)
引用元:MetrologyWorks(https://www.metrologyworks.com/products/laser-tracker-smr-ball-probes/)

スタンダードな使い方は、SMR(球状マウントリフレクター)と呼ばれる反射器を用いる方法です。上の写真にあるSMRは、内部が精巧な鏡面構造になっており、どの角度からレーザーが当たっても、中心から正確に本体へ光を返す特性を持っています。

手順としては、測定したい部品の角や面にSMRを直接当てていきます。本体が自動でSMRの動きを追尾(トラッキング)するため、作業者はSMRを持ったまま測定箇所を次々と移動させるだけで、連続して座標の取得が可能です。操作が直感的であり、広範囲の対象物を1人でスピーディーに測定できる点が大きな強みといえます。

プローブを使った入り組んだ箇所の測定

SMRは光を直接本体に返す必要があるため、障害物の裏側や深い穴の中など、レーザーが直線状に届かない場所の測定には適していません。このような場面で活躍するのが、接触式の専用プローブ(探針)です。プローブの先端を対象物に直接触れさせることで、レーザーが届かない入り組んだ内部の寸法や形状も正確にデータ化できます。治具の奥まった箇所や複雑な機械部品の検査に有効な測定方法です。

スキャナーを使った面(点群)の測定

リフレクターやプローブが点で測るのに対し、3Dスキャナー(レーザースキャナー)を組み合わせて面で測る使い方もあります。レーザートラッカーの高い位置決め精度をベースにしながら、ハンディスキャナーで対象物の表面をなぞるようにスキャンしていきます。

膨大な点群データを一気に取得できるため、複雑な自由曲面を持つ部品の検査や、図面がない部品をデータ化するリバースエンジニアリングに適しています。

他の測定機との違いと使い分け

測定機にはそれぞれ得意分野があるため、自社の課題や対象物に合った機器を選ぶことが重要です。

  • トータルステーション:主に建築や土木の測量で使用する機器です。数キロ先の長距離を測れますが、精度は数ミリ程度にとどまります。一方のレーザートラッカーは数十メートルの範囲を0.1mm以下の高精度で測れるため、より精密な製造業や大型機械の組み立てに向いています。
  • 門型三次元測定機(CMM):検査室に固定して使う、ミクロン単位の超高精度な測定機です。温度管理された環境で安定した測定が可能ですが、測定機本体より大きな物は測れません。レーザートラッカーは現場に直接持ち運んで、その場で大型部品を測れる機動性が特徴です。

レーザートラッカーを導入するメリット・デメリット

メリット

レーザートラッカーを導入する最大のメリットは、高い測定精度と幅広い対象物に対応できる柔軟性です。ミリ単位以下の誤差が許されないシビアな組み立て現場でも、信頼性の高いデータを取得できます。

また、小さな精密部品から、橋や航空機のような巨大な構造物まで幅広く対応可能です。測定範囲が広く、従来のアナログな手法では何人も掛かり切りになっていた作業を、少人数かつ短時間で完了できるため、大幅な作業効率の向上が見込めます

デメリット・注意点

メリットが多い一方で、導入コストの高さや環境要因の影響を受けやすい点には注意が必要です。機器自体が高額であることに加え、現場の温度変化や空気の揺らぎがレーザーの精度に影響を及ぼす場合があります。また、極座標系の理解や専用ソフトウェアの操作など専門的な知識と技術が求められるため、社内で適切に運用できる人材の育成が不可欠です。

まとめ

レーザートラッカーは、リフレクターと呼ばれる反射器にレーザー光を当て、戻ってきた光の距離と角度をもとに三次元座標を瞬時に割り出す測定機です。取得したデータを解析することで、大型部品の正確な寸法や位置関係を把握できます。

高い測定精度と、現場に持ち込んで大型対象物を測れる柔軟性が大きなメリットです。トータルステーションや門型三次元測定機など、他の測定機との得意分野の違いを理解し、自社の測定課題に合った機器を選ぶことが重要になります。

以下のページでは、レーザートラッカーと三次元測定機の違いや費用、主なレーザートラッカーメーカーについて詳しく解説しています。機器選びの参考にあわせてご覧ください。

キーエンス公式サイトへ
測定対象別
三次元測定機・
レーザートラッカー3選

ここでは、卓上に乗らない大型サイズのワークを対象とした検査において、測定サイズごとに適した性能・特徴を持つ三次元測定機やレーザートラッカーと、そのメーカーについて紹介しています。

自動車からプラントまで
現場での効率重視の検査なら
キーエンス

WMシリーズ

キーエンス公式HP
画像引用元:キーエンス公式HP(https://www.keyence.co.jp/products/3d-measure/cmm/wm/get-pricing/)
ワイヤレスプローブにより大型の測定もひとりで簡単に

取り回しの良いワイヤレス式で、接触式(プローブ)と非接触式(レーザー)の2種類が選択可能。寸法・形状を省人かつ効率的に測定できるハンディ型の測定機
手元に搭載されたタッチパネルによりその場でPCと通信でき、ひとりでもスピーディな測定を実現します。

測定範囲 1.0~25.0m
指示誤差 ±(28 + 5L/1000) μm
大型の金型など
複雑な形状の検査なら
FARO

Quantum Max FaroArm

FARO
画像引用元:FARO(https://www.faro.com/ja-JP/Products/Hardware/Quantum-FaroArms)
奥まった形状の測定でもアーム範囲内なら死角なし

手ぶれ・ミスの少なさから安定して操作でき、複雑な形状の対象物の測定で力を発揮する多関節アーム型の測定器
8軸テーブルを使用することで、一度のセットアップでさらに様々な角度からの測定が容易になります。

(※接触式測定の場合)
測定範囲 2.0~4.0m
指示誤差 ±25~76μm※
建造物や地形測定
屋外での検査なら
HEXAGON

Absolute Tracker AT960

HEXAGON公式HP
画像引用元:HEXAGON公式HP(https://hexagon.com/ja/products/leica-absolute-tracker-at960)
強力な防塵・防水仕様で屋外環境でも正確な測定

密閉型ユニットが粉じんなどの汚れの侵入を防ぎ(IP54相当)、屋外環境でも問題なく使用できる測定機
本体搭載の環境ユニットが気温、気圧、湿度条件をチェックし、外部要因に合わせて検査結果を補正します。

測定範囲 ~80m(最大160m)
指示誤差 ±15μm +6μm/1m※
(※参考:[PDF]キーエンス公式HP https://www.keyence.co.jp/download/download/confirmation/?dlAssetId=AS_107457&dlSeriesId=WS_SR57355&ad_local=CDc&wl=1
(※参考:FARO公式HP https://www.faro.com/ja-JP/Products/Hardware/Quantum-FaroArms
Euni 測定値と公称値を比較した2点間の距離誤差)
(※参考:東京貿易テクノシステム公式HP https://www.tbts.co.jp/product/3d-measuring/laser-tracker/leica-at960/
Uxyz 最大許容誤差として明記し、ASME B89.4.19-2006 & draft ISO 10360-10 に従い算出、指示がない限り精密ライカ1.5’’レッドリングリフレクタを使用)