三次元測定機におけるキャリブレーションは、測定値の信頼性を担保し、製品品質の国際的なトレーサビリティを証明するために不可欠な工程です。精密な計測を維持するためには、原理の理解と適切なタイミングでの実施が欠かせません。本記事では、キャリブレーションの概要から必要性、実施すべき具体的なタイミングまでを詳しく解説します。
キャリブレーションとは、測定機の示す値と「真の値(標準器による基準値)」を比較し、その偏りを確認・補正する作業を指します。一般的には「校正」および「調整」を包含する概念として使われます。
具体的には、測定器本体の幾何学的誤差の補正やスケールファクターの最適化に加え、日常的な運用においてはスタイラスの有効径や位置関係を算出する「プローブ・キャリブレーション」などを指します。
三次元測定機はミクロン単位の精密機械であり、長期間の使用による駆動部の摩耗やスケールの経年劣化によって、わずかな誤差が生じることが避けられません。また、温度・湿度の変動や微細な振動などの環境要因も測定精度に影響を及ぼします。定期的なキャリブレーションにより、これらの微細な狂いを取り除き、常に高い精度を維持する必要があります。
接触型測定機では、ワークの形状に合わせてスタイラスを交換したり、プローブヘッドの角度を変えたりします。この際、スタイラス交換によりスタイラス球の中心位置と真の直径にコンマ数ミクロンの誤差が生じるため、そのままでは正確な測定ができません。スタイラスの角度を変更した際にも、キャリブレーションが必要です。
ISO9001など国際規格では、使用する計測機器が正しく校正されていることが求められます。キャリブレーションを行うことで測定データの信頼性を高めること、トレーサビリティを証明することは顧客に品質保証を示すことに繋がります。また、キャリブレーション実施による確実なデータ管理は製品の品質向上にもつながり、こちらも顧客への信頼獲得に繋がります。
実務上、これらは混同されがちですが、厳密には以下の違いがあります。「校正」はあくまで器差(誤差)を確認し記録する作業を指し、その結果をもとに「基準値に合わせる調整」までを行う工程が「キャリブレーション」です。現場では、日常的なプローブ調整をキャリブレーション、年1回のメーカー点検を校正と呼び分けるケースも見られます。
キャリブレーションは定期的な実施に加え、以下のタイミングで行うことが推奨されます。
また、メーカーが推奨する半年~1年ごとの定期校正は、装置全体の幾何学的精度を担保するために欠かせないプロセスです。
当サイトでは、おもに大型検査におすすめ三次元測定機・レーザートラッカーを3製品紹介。いずれも卓上では測定の難しい中・大型ワークに対応している製品と、メーカー企業についての情報を記載しています。
大型ワークの精密検査は、測定の作業効率や取り回しの良さ、環境耐性など、測定対象や環境に合わせて重視する性能・特性を考えることが重要です。ぜひ、使用状況を鑑みながら、装置選定の参考にしてみてください。
ここでは、卓上に乗らない大型サイズのワークを対象とした検査において、測定サイズごとに適した性能・特徴を持つ三次元測定機やレーザートラッカーと、そのメーカーについて紹介しています。
WMシリーズ
| 測定範囲 | 1.0~25.0m |
|---|---|
| 指示誤差 | ±(28 + 5L/1000) μm |
Quantum Max FaroArm
| 測定範囲 | 2.0~4.0m |
|---|---|
| 指示誤差 | ±25~76μm※ |
Absolute Tracker AT960
| 測定範囲 | ~80m(最大160m) |
|---|---|
| 指示誤差 | ±15μm +6μm/1m※ |