三次元測定機によるタービンブレードの検査

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三次元測定機によるタービンブレードの検査とは

タービンブレードは、航空機エンジン・発電機などのガスタービンや、蒸気タービンを構成する羽根状の部品です。空気やガスの流れを受けて回転し、回転運動をエネルギーに変換します。タービンブレードの形状や大きさが少しでもずれていると、効率が悪くなったり、破損・事故の原因になりえます。

三次元測定機を利用することで、タービンブレードの形や寸法を正確に測定し、設計通りに作られているか検査できます。

三次元測定機で対応できるタービンブレードの検査項目

寸法検査

寸法検査は、ブレードの基本寸法が設計図通りになっているか測定するプロセスです。

  • 長さ測定
    ブレードの全長が設計値と一致しているかを確認します。長さの誤差は回転バランスや空力特性に影響を与えるため、精密な測定が必要です。
  • 厚み測定
    複数箇所の厚みを正確に測定し、設計基準内に収まっているかを確認します。ブレードの厚みは構造的な強度と耐久性に直結するため、精密な測定が欠かせません。
  • 曲率測定
    ブレードの曲線や曲面がどれだけ曲がっているか調べる検査です。曲率半径や曲線の連続性を測定し、設計通りの形状を維持しているか評価します。

形状検査

形状検査は、ブレードが設計図通りの形状になっている確認するプロセスです。

  • 表面形状の精度検査
    ブレード表面の滑らかさや曲面の連続性を評価する検査です。微細な形状のズレや凹凸は、空気抵抗や振動の原因となります。
  • 対称性の確認検査
    左右対称や回転対称が保たれているか調べる検査です。不対称な形状は、回転時のバランスに悪影響を及ぼす可能性があります。
  • 設計仕様との一致検査
    設計図やCADデータと実際のブレード形状を比較し、寸法や形状の一致度を評価します。

表面品質

表面品質は、表面の仕上げ状態や欠陥がないか確認する一連の工程を指します。

  • 表面粗さの測定
    粗さパラメータ(Ra値など)を測定して、表面の滑らかさを評価。適切な表面仕上げは、空力性能の向上や摩耗の防止につながります。
  • 欠陥の検出
    ひび割れ、欠け、くぼみなどの表面欠陥を検出します。
  • コーティングの均一性
    ブレード表面に施されるコーティングの均一性を確認します。コーティングが不均一だと耐食性や熱抵抗性に影響するため、精密な測定が必要です。

公差管理

公差管理は、許容される誤差範囲(公差)を決めて、その範囲内で正しく製造できるように管理する一連の工程を指します。

  • 設計公差の設定
    設計図に明記されている各寸法や形状の設計公差内に、測定結果が収まっているか確認します。
  • 統計的プロセス管理(SPC)
    製造工程やサービス提供の各段階でデータを収集し、統計的な分析を実施。プロセスが安定しているか(ばらつきが少ないか)を継続的に監視し、品質の一貫性を維持します。
  • 不良品の識別と対策
    測定結果が公差を超えた場合、原因を特定して製造プロセスの見直しや修正を行います。

三次元測定機によるタービンブレード検査の必要性

タービンブレードは高温や高圧にさらされる過酷な環境で動作します。わずかなズレや形状の不具合が大きな問題に発展しうるため、精密な検査が欠かせません。

三次元測定機を使えば、タービンブレードの微細な形状まで正確に測定できるため、事故の防止につながります。また、測定データを記録しておけば、後々のトレーサビリティ(製品履歴の追跡)も可能です。

三次元測定機によるタービンブレード検査の課題

測定対象であるタービンブレードは、複雑な曲面を持つものが多い傾向にあります。そのため、測定するには高度な技術やソフトウェアが必要です。設定や操作が少し難しいと感じる方もいらっしゃるでしょう。

また、タービンブレードが非常に大きい場合や、たくさんの部品を一度に測定する場合、時間がかかることもあります。特に、航空機エンジンのタービンブレードのように精密な精度が求められる場合は、測定時間とコストに余裕を持って実施しましょう。

タービンブレード検査における三次元測定機の活用例

主に、航空宇宙産業やエネルギー産業などで活用されています。三次元測定機を使用することで、設計通りに製造されるかどうか検証し、寸法のズレや形状不備によるトラブルを回避しているのです。また、タービンブレードの精度は発電効率やメンテナンスコストにも影響します。検査データをデジタル管理すれば、検査結果の分析や改善策立案の効率も上げられるでしょう。

三次元測定機のタービンブレード検査における新技術

タービンブレードの断面形状測定における新技術

国立研究開発法人産業技術総合研究所の研究者チームは、産業機械部品における曲面形状測定の精度を高める新技術を開発しました(※1)。

具体的には、画像処理技術や表面粗さ測定に用いられるモルフォロジカル処理(ノイズを除去や輪郭を強調する処理)を三次元測定機の測定データに適用。これにより、タービンブレードの断面形状における測定誤差をサブマイクロメートル単位まで減少させることに成功しています。この新技術はタービンブレード以外の産業機械部品にも応用可能です。

また、研究チームは今回の成果をさらに発展させ、より精密な形状評価技術を実現するとのこと。プローブ球の実形状を計算に組み込み、曲面形状の測定精度向上に取り組んでいます。

【論文情報】
掲載誌:Precision Engineering(オンライン掲載)
論文タイトル:Accurate surface profile measurement using CMM without estimating tip correction vectors
著者:M. Watanabe, O. Sato, K. Matsuzaki, M. Kajima, T. Watanabe, Y. Bitou, T. Takatsuji
DOI:10.1016/j.precisioneng.2024.09.009

タービンブレード検査の今後の展望

  • AI技術・ディープラーニングの活用により、検査精度がさらに向上するでしょう。
  • ロボティクスとAIの融合により、完全自動化された検査ラインが増えていくでしょう。
  • IoTとビッグデータ解析の進展により、製造プロセスのリアルタイム監視とフィードバックが可能になります。

三次元測定機によるタービンブレード検査のまとめ

  • タービンブレードは高温・高圧環境下で使用されるため高精度な検査が必要
  • 三次元測定機によるタービンブレード検査はミクロン単位で測定できる
  • 主に航空宇宙産業やエネルギー産業で広く活用されている

高温や高圧にさらされる過酷な環境で動作するタービンブレード。エンジン部分に使用される重要な部品のため、三次元測定機を使った精密な検査が欠かせません。羽根状で曲面があるため、測定が難しそうだと感じるかもしれませんが、中には直感的な操作で測定できる三次元測定機もあります。導入コストはかかるものの、長期的に見れば品質向上、コスト削減、生産性向上などのメリットがありますので、ぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。

用途・検査対象で選ぶ
三次元測定機・レーザートラッカー3選

当サイトでは、おもに大型検査におすすめ三次元測定機・レーザートラッカーを3製品紹介。いずれも卓上では測定の難しい中・大型ワークに対応している製品と、メーカー企業についての情報を記載しています。

大型ワークの精密検査は、測定の作業効率や取り回しの良さ、環境耐性など、測定対象や環境に合わせて重視する性能・特性を考えることが重要です。ぜひ、使用状況を鑑みながら、装置選定の参考にしてみてください。

キーエンス公式サイトへ
測定対象別
三次元測定機・
レーザートラッカー3選

ここでは、卓上に乗らない大型サイズのワークを対象とした検査において、測定サイズごとに適した性能・特徴を持つ三次元測定機やレーザートラッカーと、そのメーカーについて紹介しています。

自動車からプラントまで
現場での効率重視の検査なら
キーエンス

WMシリーズ

キーエンス公式HP
画像引用元:キーエンス公式HP(https://www.keyence.co.jp/products/3d-measure/cmm/wm/get-pricing/)
ワイヤレスプローブにより大型の測定もひとりで簡単に

取り回しの良いワイヤレス式で、接触式(プローブ)と非接触式(レーザー)の2種類が選択可能。寸法・形状を省人かつ効率的に測定できるハンディ型の測定機
手元に搭載されたタッチパネルによりその場でPCと通信でき、ひとりでもスピーディな測定を実現します。

測定範囲 1.0~25.0m
指示誤差 ±(28 + 5L/1000) μm
大型の金型など
複雑な形状の検査なら
FARO

Quantum Max FaroArm

FARO
画像引用元:FARO(https://www.faro.com/ja-JP/Products/Hardware/Quantum-FaroArms)
奥まった形状の測定でもアーム範囲内なら死角なし

手ぶれ・ミスの少なさから安定して操作でき、複雑な形状の対象物の測定で力を発揮する多関節アーム型の測定器
8軸テーブルを使用することで、一度のセットアップでさらに様々な角度からの測定が容易になります。

(※接触式測定の場合)
測定範囲 2.0~4.0m
指示誤差 ±25~76μm※
建造物や地形測定
屋外での検査なら
HEXAGON

Absolute Tracker AT960

HEXAGON公式HP
画像引用元:HEXAGON公式HP(https://hexagon.com/ja/products/leica-absolute-tracker-at960)
強力な防塵・防水仕様で屋外環境でも正確な測定

密閉型ユニットが粉じんなどの汚れの侵入を防ぎ(IP54相当)、屋外環境でも問題なく使用できる測定機
本体搭載の環境ユニットが気温、気圧、湿度条件をチェックし、外部要因に合わせて検査結果を補正します。

測定範囲 ~80m(最大160m)
指示誤差 ±15μm +6μm/1m※
(※参考:[PDF]キーエンス公式HP https://www.keyence.co.jp/download/download/confirmation/?dlAssetId=AS_107457&dlSeriesId=WS_SR57355&ad_local=CDc&wl=1
(※参考:FARO公式HP https://www.faro.com/ja-JP/Products/Hardware/Quantum-FaroArms
Euni 測定値と公称値を比較した2点間の距離誤差)
(※参考:東京貿易テクノシステム公式HP https://www.tbts.co.jp/product/3d-measuring/laser-tracker/leica-at960/
Uxyz 最大許容誤差として明記し、ASME B89.4.19-2006 & draft ISO 10360-10 に従い算出、指示がない限り精密ライカ1.5’’レッドリングリフレクタを使用)